初めて編集した本は,BASIC をメインにおいたコンピュータの一般的な解説書でした。
上司がある著者に執筆を依頼したものを,
私が原稿整理から本に仕上げるまでの仕事をやるようにとのことでてがけました。
大学時代にはコンピュータのことなどまったくといっていいほど勉強してこなかった私ですが,
さすがに仕事となると知らないでは済まされません。
社内に同じ著者の関連する著作があったので,
にわか勉強ですが読み,原稿整理を始めました。
そのころ同じ上司が,編集部員を少しでもパソコンに慣れさせようとてか,
やはり別の著者から古くなったパソコンを譲り受けてきました。
そのころのパソコンはどれもそうでしたが,
電源を入れると BASIC が使える状態になりました。
つまり BASIC に関係するコマンド以外は受け付けないのです。
「パソコンを使う=BASIC を使う」
ということで,
BASIC を解説した本がどこの出版社でもよく売れたものです。
「パソコンが使えなければ時代に乗り遅れる」
という社会風潮があり,
誰もが何とか BASIC でプログラミングできるようにならなければいけない,
と思い込んでいました。
今思えば,変な考え方ですね。
今も変な風潮が,形を変えて残っているようにも思えます。
これから私とパソコンの長い付き合いが始まりました。