先日,1冊の本を読み終わり,
それに関連する分野の先行研究などを調べてみることにする,
と書いた。
今週はそれを実行しているのだが,
そのなかでなんと
O’Neill, The Geometry of Kerr Black Holes, 1995
と再会した。
この本には日本語訳があって,
かなり前に購入して本棚に積ん読の状態になっていた。
最近Doverからreprintが出ている。
そっちも持っているのだが,
購入してはじめの方は読んだが,全部は読んでいなかった。
そこで今回「いい機会だ」とばかりに,
ざっと目を通した(日本語訳の方でね(笑))。
目次は
第1章 背景
第2章 カー時空序論
第3章 最大への拡張
第4章 カー測地線
第5章 ペトロフ・タイプ
となっている。
まえがきに,
「本書の目的は,題名どおり,カー時空の幾何学を研究することである」
とあり,
「つまり,曲率,測地線,等長写像,全測地的部分空間,位相構造,等々を調べる」
が微にいり,細を穿ち実行されている。
訳者前書きに
「カー時空は,ブラックホール時空のなかでもきれいなものであり,
同時に研究事項も豊かである,というすぐれた特徴を持っているのである。
この瀟洒と豊饒を数学の分野で例えれば,
ランク1のコンパクト対称空間ということにもなろう。
テーマとして十分すぎるものである」
とある。
実際この本を眺めてみて,その感が強い。
で,それがどれくらい一般的に成り立っているのかを考えるのは,
おもしろい研究テーマとなりそうだ。