グイン・サーガ131「パロの暗黒」 五代ゆう

初めてグインサーガを読んだのは,
いまから20年くらい前になろうか。
当時,やたらと長い小説を読みたくなり,
「徳川家康」とどちらにしようか,
と迷って,「100巻を目指す」とぶちあげていた
栗本薫さんのグイン・サーガを選んだのでした。

それまでファンタジーと呼ばれるSFの分野は読んだことがなく,
はじめはとても違和感を感じました。
しかし徐々に違和感に慣れ,
小説世界に没頭するようになると,
登場人物の生き生きとした姿に魅せられるようになってきました。

で,確か100巻まではおつきあいしたように思います。
というのも,このシリーズいつからか作者の語りのくどさが目につくようになり,
なんとなく読むのが億劫となり,
グイン自身には興味があるものの,
小説自体はなんかつまらなくなってきたのでした。

そんな,こんなで,グイン・サーガからいつしか離れ,
違う分野のSFを読むようになって行きました。

で,ご存知のように栗本さんが亡くなられ,
結局グイン・サーガは未完に終わりました。

しかしその壮大な世界は残ったようです。
そしてその壮大な世界の出来事を書き継ごうという方が出てきたんでした。

その一人が 五代ゆう さんのようです。

書店でこの本を見かけ,
手にとったときには正直「どうしようか」
と迷いました。

でも,書き継がれたものがどんなものか,
このあとも期待を持ちつつ読み続けるか,
この1冊で終わりにするか,
まずは読んでみてもいいのかな,
と思い,購入。

昨日まで夜のひととき,1週間かけて読んでいました。

かなり長い間物語から離れていたので,
あらすじを忘れていました。
が,作者あとがきにもありましたけど,
そういった読者でもそれなりにすっと入っていけるように,
あちこちに関係する出来事の復習が書かれており,
読んでいくのには支障ありませんでした。
(あ,もしこの文章を読んで,「パロの暗黒」を読もうと思った方,
絶対にあとがきは,「本文を読んだあとで」読むようにしてくださいね。
作者自身が本文の ネタばらし をしていますから。
私もご多分にもれず あとがき から読む読者のなのですが,
今回は困りました。
ま,それ以上に本文がおもしろかったので,結果オーライということで)

確かに栗本ワールドとは異なります。
それは仕方のないことでしょう。
我々が住むこの世界同様,
パラレルワールドだと思いますので,
分岐点で何を選択するのかによって,
その後の世界の展開が変わってくるのは当然だと思います。

そういった意味で新たに「五代ワールド」が展開されていくのでしょう。

もう一方 宵野ゆめ さんと交互に物語を書き継いでいかれるということです。
となるとお二人のからみ合いも含めて,どんな世界が描かれていくのか,
ちょっと興味があります。

しばらくの間は彼女ら(だよね?)の語る世界に浸ってみたいと思います。

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